
将来の展望など
腹腔鏡下手術の手術手技、器材の進歩は著しく、まさに日進月歩の感があります。
たとえば、3Dシステムスコープがすでに商品化されており、手術の際にみるテレビ画面
は、今や立体視が可能です。また、臓器をはがしたり、切つたりする処置具も、より精妙な動きが可能となっています。現在、ドイツでは、原子力研究所との共同研究により、遠隔操作ロボツトアームを操縦して手術を行なうことを目指しており、腹腔鏡下手術の可能性は、益々広がっていくものと思われます。
このように大きな期待を集めている腹腔鏡下手術ではありますが、標準的な術式として認知されつつあるものは決して多くありません。ですから、患者さんの側としては、手術に臨む際は、医師と入念に話合い、長所や危険性などについて充分理解し、納得しておく必要があります。一方、医師の側としても、腹腔鏡下手術を選択する際には、本術式が、これまでの手術と比較して、安全性、経済性などの面でも有利か否かについて厳しく検討していかなくてはなりません。このような慎重な姿勢こそが、腹腔鏡下手術の発展には不可欠と考えられます。
