胆嚢以外の腹部外科手術

胆嚢以外の腹部外科手術
(胃、大腸、ヘルニアなど)

我が国では、胆嚢摘出手術に続いて、平成6年4月に、鼠径へルニア根治術に腹腔鏡下手術が保険診療として、厚生省により認可され、さらに平成7年4月には、十二指腸潰瘍穿孔閉鎖術、消化管部分切除術(胃、小腸、大腸)などにも腹腔鏡下手術が認められました。現在、腹腔鏡下手術は、食道、肝臓などにも行なわれており、最早その対象は消化管全般に広げられています。
以下、疾患別について現状を説明します。


(1)胃、大腸腫瘤
胃癌に対する腹腔鏡下手術は、日本が大きく世界をリードしている分野です。腹腔鏡下手術用自動切断縫合器を用いる方法が一般的ですが、大腸では、この自動切断縫合器を用いる方法の他に、臓器の切除、吻合を体外でおこなう方法も可能であり、手技的に困難なものではありません。
良性の腫瘍や早期癌が、本術式の良い適応となりますが、周辺のリンパ節の切除を必要とするような進行癌に対しても最近は行われるようになってきました。


(2)鼠径へルニア
この疾患は、腹筋の下縁にあるすきまから、腹腔の内容が脱出している状態のことで、一般的には脱腸とも呼ばれています。
方法は、胆嚢摘出術と同様、4つの穴から腹腔鏡、処置具を入れ、ヘルニアの出口のす きまを人工の膜で覆い補強します。これまでの方法と比較すると、術後の疼痛、運動制限は少なくなりますが、美容面では明らかな差はありません。逆に全身麻酔を要し、手術時間が長くなるといった欠点があります。


(3)消化性潰瘍穿孔
手術操作としては、穿孔部閉鎖、腹腔内洗浄が主となるため、比較的簡便であり、これからの普及が期待されています。


(4)その他
食道腫瘍摘出術、迷走神経切除術、肝嚢胞切開術、脾臓摘出術なども保険診療として認 められています。


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